ステロイドの働き・効果・副作用
アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏 より
https://linktr.ee/Fumi_Oikawa
アトピー性皮膚炎に対するお薬として、目にする機会の多い「ステロイド」についてまとめておきたいと思います。
ステロイドの良い面と心配な面の両方をしっかり知ることはとても大事ですね。
ステロイドを「使う」「使わない」「使い方」など
を主治医の先生と相談する上でも知っておくと良いですよね。
ステロイドの働き
- 拡張した血管を収縮させる
- 神経伝達物質の量を減らす
これらの作用によって
炎症を鎮めることのできる薬がステロイドですね。
いろんな場面で出てきて悪者のように扱わられる「炎症」ですが、細胞を外敵から守るために必要な活動なんですよ。
炎症の流れ
アトピー性皮膚炎の例で言うと
皮膚の表面にある角層の壊れている部分から敵がたくさん侵入してきてしまいます。その際、以下のような方法で対処しますね。
- 血管を太く膨らませる
- 細胞壁の浸透圧を下げる
これらによって血液が問題の部位にたくさん集まるようになりますね。
このおかげで、免疫細胞もたくさん集まりますね。
これがいわゆる「炎症」が起きている状態ですよね。
本来は、こういった流れで免疫細胞が外敵ととたかってくれたり、止血がスムーズに進んだりと良いことばかりのはずなんです…。
しかし
アトピー性皮膚炎のようなアレルギー疾患の場合には、この反応が過剰になってしまっていますね。必要以上に炎症が強くなったり、長引いてしまったりするわけですね。
具体的には
- 血管の拡張や浸透圧の低下が必要以上に長く続いてしまう
- 免疫細胞がたくさん集まる ➡️ 情報伝達物質も増えすぎる
(免疫細胞同士の情報のやり取りに使われる情報伝達物質も増えすぎる)
↓↓↓ これらによって
- 赤くなる
- 腫れる
- 熱を持つ
- かゆみが生じる(分泌される物質によって)
話をステロイドに戻しますね。
この流れがわかると
どの部分にステロイドが作用しているのかが分かりますよね。
アレルギーのために過剰に炎症が長引いてしまっている状態を鎮静化させるためにステロイドが助けてくれるという流れですよね。
ここまででステロイドの働きを大まかに分かってもらえた方と思います。
次は
ステロイドの副作用についてです。
この副作用についてもしっかりと知る必要がありますね。
要は、薬を使うことによるデメリットも知っておくということですね。
ステロイドの副作用
- 毛細血管拡張
- 皮膚が薄くなる
【毛細血管拡張が起きる流れ】
ステロイドの塗り薬は血管を収縮させる(細くする)効果がありますよね。同じ部位に繰り返し使い続けてしまうと血管を収縮させる(細くする)効果が弱くなってしまいます。血管が収縮できなくなると血管は拡がった(太くなった)ままの状態になってしまいます。
【皮膚が薄くなる流れ】
皮膚の表面にある角層には、線維芽細胞という角層をしっかりと形作るために必要な枠組みのような細胞があります。ステロイドの塗り薬は、その線維芽細胞の働きを弱めてしまうそうです。枠組みが弱くなった建物は、ぐらぐらしてペチャンコになってしまいますよね。線維芽細胞は修復も早いのですが、ステロイドを毎日塗り続けてしまうと修復が追いつかずに皮膚が薄く壊れやすくなってしまうという流れですね。
ステロイドの使い方
- 炎症を抑え込むまでしっかりと使う
この状況では副作用を心配するよりも、炎症による症状の悪化をなるべく早く落ち着かせることが最優先ですね。 - 炎症が落ち着いたら頻度・量を減らす
アトピー性皮膚炎が中等度から重度の場合、見た目が良くなっても炎症がお落ち着いていないこともあるので、減らすタイミングには注意が必要ですね。 - 間欠的に使う。使わない日を作り定期的に使用(プロアクティブ療法)
間欠的な使用については、主治医の先生との細かな相談が必要になります。現在の皮膚の状態と現状に至るまでの回復過程、悪化のタイミングなどを加味して今後の方針を決めていく必要がありますね。
今回は、ステロイドの働き・効果・副作用についてお伝えしました。
お薬については、どれもそうだと思いますが、
期待される良い面と心配される悪い面の両方をしっかりと知っておく必要がありますね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏より
日本アレルギーリハビリテーション協会
アレルコア
YouTube(アレリハちゃんねる)とnoteでは、アレルギー疾患や自律神経に対する理学療法についてお伝えしています。