患者さんに良く聞かれる質問です。

「アトピーは遺伝するんですか?」

 
結論から言うと

「遺伝的な要素はあります」

 
ただし、

遺伝子変異 ≠ アトピー性皮膚炎

です。
 
遺伝子の問題がある人が
みんな、アトピー性皮膚炎を
発症しているわけではありません。
(※ここで言う遺伝子の問題とは、後述するフィラグリン遺伝子の変異を示しています)
 
 
また、アトピー性皮膚炎を
発症している患者において、
遺伝子の問題が
認められる患者さんは
日本において
20〜30%です。
 
 
 

残りの7割強は、

フィラグリン遺伝子に

問題のない人です。

 
したがって、
遺伝的な問題だけでは、
アトピー性皮膚炎を説明することは
出来ません。
 
このことは、

両親のアトピー性皮膚炎の有無と

お子さんのアトピー性皮膚炎の

発症を単純に結びつけることは

出来ない

ということを示します。
 
 
他の要素もたくさん関わっているという
ということです。
詳しい説明は、省きますが
アトピー性皮膚炎の発症には
幾つかの要因があります。
 
スクリーンショット 2016-07-05 13.16.20
 
 
遺伝子レベルの問題については、
誤解を避けるために
詳しくお伝えする必要があります。
 
 
上で説明した遺伝子レベルの問題
というのは、

フィラグリン遺伝子の変異

を示しています。
 
フィラグリンとは、
皮膚バリアの形成において
重要な役割を果たす
タンパク質のことです。
(※皮膚バリア:皮膚の外から、皮膚の中に侵入しようとするものを防ぐ役割と皮膚の内側にある水分を外に逃がさないために大切な構造のこと)
 
フィラグリンを作り出す
遺伝子に変異が生じると
皮膚バリアを上手く作ることが
できないため、皮膚が弱くなり
アトピー性皮膚炎の原因となる
物質や菌を皮膚の内側に
通過させてしまいます。
 
したがって、
フィラグリン遺伝子に変異があると
アトピー性皮膚炎が発症しやすい
ということになります。
 
 
 
今日の文章を読んで、
自分や子供のフィラグリン遺伝子が
どうなっているんだろうかと
心配になってはいませんか?
 
次回は、
このフィラグリン遺伝子の変異が
あるかどうかを知る方法をお伝えします。
 
遺伝子検査をする以外の方法です!
 
(みんな、遺伝子検査が出来るわけではないですからね…ww)
 
それでは、また。
参考文献
・ここまでわかったアトピー性皮膚炎の病態メカニズム
椛島健治 京都大学大学院医学研究科皮膚科学准教授 Mebio Vol.32 No4 4-9
・アトピー性皮膚炎のバリア異常とフィラグリン遺伝子
乃村俊史 北海道大学大学院医学研究科皮膚科 Mebio Vol.32 No4 10-15

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